白い吐息

「長谷川先生、僕の大事な生徒とこんなことしていいんですか?」

森下は今度はニヤリと笑い、自分の携帯電話を琴の目の前にかざした。

「…!これ……」

森下の携帯画面には、生物室で抱き合う琴と真人が写っていた。

「…なっ…なんで…?」

画面から目を背け動揺する琴。

「それはこっちが聞きたいですよ」

森下は琴の顎に手をかけ、無理矢理携帯画面を覗かせる。
森下の力に琴は震えが止まらない。

「あっ…あの…」

説明も出来ず、ただうろたえる琴。

「僕のクラスの大事な生徒に何を教えているんですか?」

顎を押さえている森下の手に力が入った。

「イタっ…」

森下は携帯をポケットにしまい、琴の身体を壁に押しつけた。

「やっ…やめて下さい…森下せん…せ」

「琴子か…」

森下が呟いた。

琴の目が点になる。

「…なっ…なんで…それ」

「外国語研究部、こっそりと見学させてもらいましたからね」

「えっ…」

盗聴…
盗撮…

琴の頭をよぎる言葉。

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