白い吐息
真人は森下のシャツの襟を後ろから掴んで弾き飛ばした。

「先生、大丈夫!?」

「しっ白居くん…何で?」

慌て飛び起きる琴。
彼女は真人の腕を握った。
投げ飛ばされたときパイプ椅子に頭をぶつけた森下が痛そうに頭をさすっている。

「あそこ」

真人が指を指す先には、校庭側からの入り口があり、扉が開いていた。

「くそ…」

立ち上がりながら真人を睨み付ける森下。

琴は真人の後ろに隠れ、彼のシャツを握っている。

「あんた、何してんだよ…」

真人も森下を睨み返す。

「何って?見てたなら分かるだろ。邪魔しないでもらいたいな」

わざとらしく髪をかきあげる森下。

「邪魔?長谷川先生嫌がってたじゃねーか!」

「…二人きりじゃないときは先生か…笑わせるな」

「はっ?」

「生物室での会話、盗聴されてたみたいなの…」

真人の耳元で琴が囁く。

「白居、オレはお前の秘密なら何でも知っているんだぞ」

シャツを直し、前で腕を組みながら話す森下。

「だっ…だから何だっていうんだよ」

「おとなしくしてないと全部バラすぞ」

教師らしからぬ脅しと取れる発言に、真人はゴクリと唾を飲んだ。

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