白い吐息
琴を気づかい、真人は彼女の手を引いた。

「いいの…」

琴はそれを拒んだ。

「えっ?」

「まだ…職員室には行きたくない…」

俯きながら喋る琴。

「…そっか」

真人は自分が入ってきた校庭側からの入り口の鍵をかけた。
そして廊下側の扉をゆっくり閉める。

「何で、私がここにいるってわかったの?」

「…なんとなく…琴子に呼ばれた気がしたんだ」

「……」

言葉を無くした琴を真人は窓側のベッドに座らせた。

「聞かないんだね。あいつが言ってたこと」

そう言いながら真人は対面するベッドに座った。

「…そーゆーの関係ないから」

「ありがとう。優しいんだな琴子」

「聞くのが怖いだけかもしれない…しら…真人のこと信じてるから…」

「本当はさ、今回みたいな危険な目に合うから、オレには関わるなって…言うべきなのかもしれない」

「……?」

「でも…オレ、琴子のことが本気で好きだから、失うの嫌だから、それは絶対に言えない」

真人は膝に置いてた拳を固めた。

「真人…」

琴は俯いていた顔をようやく上げた。

「だから、守るよ。全身全霊をかけて琴子を守る。約束する」

真人は立ち上がって琴の両手を握った。
そして崩れるようにしゃがみ込む。
琴の膝には真人の額。

「側にいてほしいんだ…。例え恋人になれなくても」

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