なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?


転がっていくバトンを見つめ、目の前が真っ暗になっていく。


…また、足引っ張っちゃた。


泣きそうだ…











でも、そんな私を暗い世界から引き戻すように


「持田!走れ!!」


誰かの、叫ぶ声が聞こえた。




見上げると、少し先には大好きな琢斗の姿。




「俺が繋ぐから。ここまで来い!!最後はヨウが走る!みんなを信じろ!」


いつもは多くを語らない琢斗が、こんなにも声を大にして叫んでる。


それだけで嬉しくて頼もしくて、


私は再びバトンを拾い、擦りむいた足を庇いながら走った。


現在最下位。


でも今は、


『ごめんなさい』


この言葉はなしだ。


きっと、後のみんなが繋いでくれる。


大好きなみんなを信じるんだ。



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