なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
リレーが終わると、クラスのみんなが心配して私の元へ駆け寄ってくる。
みんなの口から出るのは、
「大丈夫?」
とか、
「お疲れ!」
とか、そんな優しい言葉ばっかりで。
亜子同様、誰一人として私を責めない。
そんなみんなの優しさに触れて、
「みんな、ごめんね。ありがとう…」
やっと、みんなに伝えたかった言葉が言えた。
「アンカーの俺がばっちり締めたから、気にすんな!」
ヨウの言葉に、やっぱり涙が出そうになる。
そんな風にして、みんなの円の中心に私がいた時…
「ちょっと、来い。」
私は突然琢斗に手を引かれ
「背中乗れよ。」
真剣な目で、そう言われる。
「え、なんで…」
状況が掴めず取り乱す私に
「足、怪我してるだろ。それに朝から顔色悪かったし。救護室連れてくから、背中乗れ。」
そう言って琢斗は、私に背中を差し出してくれたんだ。