なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
琢斗と2人?!
嬉しいけど…
嬉しいけどさ、とにかく気まずいよ…
琢斗のあんな言葉を聞いちゃった手間、どんな顔して琢斗と接していいか分かんない。
そんな風に頭の中であれこれ考えていると
「あんま考え過ぎんなって。単純に楽しめばいいじゃん。」
私の頭の中を覗いたかのように、ヨウが的確な言葉をくれる。
そして、
「…がんばれよ。」
電話越しだったから、ヨウがどんな顔してこの言葉を言ったのか分からないけど、ヨウはかすかに笑ってそう言った。
「うん。ありがとう…へへ」
だから私も、照れくさくなって笑い返した。
「そだ。最終日、亜子と遠哉一緒に回るらしくてさ。琢斗は最終日当番だから、暇なら俺と回ろう?」
私はヨウの気持ちを全く分かっていなかったから、そんな提案に
「そだね。一人じゃ寂しいから、ヨウが一緒だと嬉しいよ。」
ただ単純に思ったまま、そう答えた。
「じゃあな。時間とらせてごめん。」
「あ、ヨウ!!」
電話を切ろうとするヨウを引き止めて、
「今日はありがとう。保健室来てくれたんでしょ?起きたらヨウのタオルがあったから。明日返すね。」
お礼を言う。
保健室で目を覚ましたら、琢斗がいて。ほんとは琢斗から聞いたんだ。
『ヨウが来てた』って。
「そんなのいいよ。それより、今日はゆっくり休めよ。したらおやすみ」
ヨウは私の体調を気遣うように、電話を切った。
しばらく、電話後も私の頭はなんだかフワフワしていて、どこか上の空。
不安よりもいつの間にか楽しみの方が勝っていて、早起きしていつもより可愛くしなきゃとか、そんなことばかり考えていた。