なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
「…ごめん。」
「持田のこと、友達以上に思えない……」
そう、
とても辛そうな声で――
琢斗。
それは、何に対しての『ごめん』なの…?
――――――――――
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「そっかぁ…そうだよね。」
「分かった!」
私は、無理やりに笑顔を作って
「私こそ、バカなこと言ってごめんね。じゃあ、これからも“友達"として仲良くして。」
友達という言葉を強調する。
『トモダチ』
なんて便利で、残酷な言葉だろう。
「そろそろ行こうか。みんなが心配しちゃう!」
止まった時間を無理やり進ませるように、私は部室のドアを開ける。
琢斗の顔を見なかったのは強がりではなく、私の弱さ。
そのまま私は、琢斗との距離を遠ざけていく。
泣き顔は、見せたくないから。