なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
side亜子
夢乃と別れたあと、一人で考えてたんだ。
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「……やっぱりまだ残ってた。」
「帰んねぇの?」
振り返ると、腕を組んでドアにもたれかかっているヨウ。
「ヨウこそ。なんでここにいるの?」
「お前のことだから、ここにいるんじゃないかと思って。お前の考えてることとか行動とか、俺にはお見通しだから。」
そう言って、当たり前のように私の前にドカッと腰を下ろす。
こいつの自信は、どこから来るんだろう。
私が一人でいたかったらどうするのさ、この男は。
「夢乃のこと慰めてたんだろ?…大丈夫か……?」
夢乃が琢斗に振られたことも、夢乃と私のやりとりも、こいつは正確には分からないはず。
でも、分かっちゃうんだ。こいつには……
「とりあえず、泣き止んだよ。」
私があっさりそう返すと、
ヨウは、言う。
「じゃなくて、お前が。本当は一番辛いの、お前だろ。」
凄く、真剣な顔で。
心の奥を見透かされたような、ヨウの言葉に、一瞬空気が震えた気がした。
「いい加減、弱音吐いたら?」
「お前見てると、俺まで辛い…」
そう呟いたヨウの顔は本当に辛そうで、こいつには本音でぶつからないとダメだって、本能でそう感じた。