なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
学祭最終日
side遠哉
「だーーーっっもう!!!」
布団の中。
頭がぐちゃぐちゃして眠れない。枕を抱えて何度寝返りしただろう。
緊張して寝れないとか、遠足の前の小学生か俺は。
いよいよ明日
亜子に気持ちを全部伝える。
亜子は、どんな反応をするだろう?
俺たちの関係は、どう変わるだろう…
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「ひっどい顔だね。」
朝、開口一番亜子に言われた。
「ほっとけ…」
誰のせいで…って言いそうになったけど、それもこれも、いつもイジイジしてた俺のせいか。
亜子のせいでも何でもない。
「さってと!今日はトーヤが奢ってくれるみたいだし。何食べよっかなぁ…楽しみ☆」
亜子はそう言って、思わず怖じ気づいちゃうくらいの不適な笑みを浮かべる。
「亜子ちゃん、少し遠慮してね……」
「ふふ。どうしよっかなぁ〜」
そう言ってスキップしながら歩いていく亜子を見つめながら、俺はかなりの不安を感じていた。
亜子が元気なのは嬉しいけど、なんだかそれが空元気のように思えて。
亜子、お前は心の中にどんな重りを抱えているんだろう…