なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
試合に夢中で気づかなかったけど、半袖で1日外にいた私の腕は、いつの間にか日に焼けて真っ赤だった。
「……ありがとう。」
私はタオルを握りしめて、
「いや…今日も助かった。サンキュ。」
部員たちの元に戻っていく琢斗の後ろ姿を見つめていた。
こういうとこが、
どうしようもなく好きなんだ。
野球大好きなとこも
部員のことを一番に考えてるとこも
ぶっきらぼうだけど、ちゃんと気づかいができるとこも
遅くまで、一生懸命野球に打ちこんでる姿も。
琢斗の全部が、
私はたまらなく好き。
『ありがとう。』
そんな言葉はいらないよ。
私はズルいから
同じ野球部で、
頑張ってる琢斗の側にいられるだけで幸せ。
好き。
そんなこと言えないけど、
もう少し琢斗のこと、
応援しててもいいのかな…?
タオルを腕に当てると、
ひんやりと冷たくて、ちょっぴりヒリヒリした。
顔がちょっぴり赤かったのも
胸までヒリヒリするのも
全部日焼けのせいにして、私も部員の元へ戻っていった。