なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
side夢乃
楽しみにしていた学祭最終日。
でも、最高で最悪に気分が悪い。
「おはよぉー…」
朝、いつものようにクラスメイトに挨拶をするけど
琢斗にだけは目を逸らしてそのまま前を素通りしてしまう。
昨日の今日だからへんに意識しちゃって、琢斗の前でどんな顔すればいいか分からない。
『友達』でいることが、こんなに難しいなんて思わなかった…
琢斗もそんな私の気持ちが分かっているのか、私とは反対方向を向いて考え事をしている様子。
とにかくこの気まずい空気から早く逃げ出したくて、担任の話が終わって各自解散になると
「ヨウ行こう!」
ヨウの手を引っ張って矢継ぎ早に教室を出た。