なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
ヨウは仰向けになり、眩しそうに目を細める。
ヨウは自由だ。
それが羨ましくもあり、かわいそうに思えた。
本当は自由じゃない。
きっとヨウは、
誰よりも自由でありたいと願っている人。
でも本当は、色んな制約を抱えて生きている人。
「気持ちいいよ。夢乃も寝転がれば?」
ヨウがそう言って私の手を引っ張るから、
汚れた床に少し抵抗を感じながらも、私はヨウの隣に並んで寝転がる。
立っている時には感じなかったけど、
秋の風は少し冷たくて
隣に並んで寝転がっているヨウの存在が、ちょっぴりあったかい。
そんな、空気。
天気がよくて。
隣にはあったかいヨウがいて。
それだけで、私は幸せなんじゃないかって錯覚してしまう。