なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?


「ここにいるとさ、すんげー近くに空があるような気がするよな。」


そう言ってヨウは両手を上げ、天を仰ぐ。




「本当は手なんて届きっこないのに。いつか届くんじゃないかって錯覚しちまう。」




「恋愛も同じなのかな…近くに感じるものほど遠くて、手が届かない。」




そんなヨウの切ない表情を、私は隣で眺めていた。




「あったかいな。このまま寝れたら幸せかも。」




幸せ、と言ったヨウ。




本当にあなたは、今幸せなの…?




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あったかい。




私たちはウトウトして、そのまま眠りについた。




確かに私はこの時幸せで。




ヨウという存在が私に安心感を与えてくれていた。




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