なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
――――――――――
―――――――――――――
「今から30分後に後夜祭を始めます。生徒の皆さんはグラウンドに集合してください。」
放送の声で目が覚める。
フェンスの外からは、ダラダラと片付けや退散を始める生徒達の姿が見えた。
「寝過ぎちゃった…」
寝ぼけ気味にスカートと髪の毛の汚れをほろう私の横で、
先に起きていたらしいヨウは何やら考え事をしていた。
「起きてたんなら、起こしてくれれば良かったのに。」
そう言って少し膨れてみせる私にヨウは、
「ゆっくり休んで欲しかったんだ。」
「寝たら、色んなこと忘れられるだろ。」
そう言って、私から離れるように歩いていく。
「そっか。ありがとう…気遣ってくれたんだね。」
私がお礼を言うと、
ヨウは私から少し離れたところで立ち止まり
「気なんて遣ってねーよ。」
「忘れればいいって思ったんだ。」
「琢斗のことなんて、寝て忘れてしまえって思ったんだ…」
眉を吊り下げて、辛そうに笑った。
なんでみんな、そんな悲しい顔で笑うの?
みんなにそんな顔をさせているのは、
…私なの?