なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
「それより、どうだったの…?」
「夢乃に言ったんでしょ?」
本題を、こんなにもあっさり聞いてくる亜子。
こんなとこもまた、こいつらしい。
「付き合うことになった、俺達。」
だから俺も、隠すことなくストレートにそう返す。
「良かったじゃん。おめでと。」
亜子は分かっていたかのように顔色ひとつ変えず、そう言い放つ。
驚く様子も、
心から祝福してくれるような笑顔も見せてくれず、
その顔からは亜子の心情が全く読めなかった。
「良かった…んだよな?」
俺は、わからなかった。
「俺今、幸せなんだよな?」
こんなこと、亜子に聞くことじゃないのかもしれないけど
亜子なら分かってくれる、そんな気がしたんだ。
「俺は、夢乃が好きなはずなのに。幸せなはずなのに。それなのに、心から喜べないんだ。」
弱音をはくとか、俺らしくないよな…
「ごめん亜子…今だけ肩貸して。少しだけ、このままでいさせて…」
そう言って俺は、亜子にもたれかかる。