なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
「夢乃、今日も可愛いね…」
思っていたことが、つい口に出てしまう。
それを聞いて夢乃は頬を赤らめ
「亜子の方が可愛いよっ!というより、美人さん!!」
そう言って笑うんだ。
この笑顔、反則だよなぁ…
私が男なら、確実に惚れてる。
「何なに?宿題?!俺にも見せてよ亜子!!」
二人のいい雰囲気を、今日も見事に壊してくれちゃうこいつ。
「トーヤ、あんたの場合はひとつもやってないんでしょ?」
「俺は忙しいからしょうがないの!」
「やる気もなかったくせに、よく言う…」
朝から調子のいいトーヤのせいで、私は逆にペースを崩されてしまう。
そんなトーヤに対しても
「おはよう、遠哉。」
変わらない笑顔で話かける夢乃。
ほんと癒やされる…
「夢乃〜亜子がこえーよ〜。宿題、夢乃が見せてよ。」
私に対する態度とは違って、甘えた口調で言うトーヤ。
「もうっ、ホントうっさい!どっかいって!!」
私のイライラは最高潮に達して、トーヤにまた冷たく当たってしまった。
ほんとに、私ってば可愛いくない。