なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
「クールビューティーがだいなしだな。」
いつの間にか私たちの中に入っていた、ヨウ。
今日も相変わらず、胡散臭い笑顔を浮かべている。
「おはよ。ねぇヨウ、あんたこいつをどうにかしてよ。朝から五月蝿くてしょうがない。」
「まあまあ。お前もまんざらでもないんだろ?いいじゃん、ちょっとくらい五月蝿いほうが楽しくて。」
どこか、
上から目線で。
ヨウはいつもそう。
いろんなものを見透かしたように、
少し離れたとこから私たちのことを見ているんだ。
「あんたも同類なんだけどね…廊下で騒いでる取り巻き、なんとかしてよ。」
朝練を見ていたのだろうヨウのファンが、今日も教室まで着いてきて五月蝿く騒いでいる。
「しょうがないじゃん。こっちにその気がなくても、あいつらが勝手について来るんだから。」
「ほんと、いつかバケの皮が剥がれればいいのに。」
女の子たちがこの時ばかりは哀れに思えて、これ以上私は文句を言わなかった。