なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?















『一度でいいから、夢乃って呼びたかった。 琢斗』






あなたは大事なことを口では言ってくれないの…?














「…なんで泣いてんの?」




振り返ると、そこにはヨウ。




私は慌てて涙を拭い、




「なんでもないよ!」




そう言って笑ってみせる。




「なんでもないなら、なんで泣く?俺に言えないような理由なわけ?」




ヨウはそう言って私を睨んだ。




「なんで、お前はそうやって嘘つくの?」




「嘘なんて…」




「ついてるだろ?!泣くほど好きなやつが他にいるのに、俺のこと好きだって嘘ついてる。」


「お前のその嘘が、どれだけ周りを傷つけてるかいい加減わかんねぇ?!」




…なんて怖くて、切ない顔。




どうして私は、大切なこの人たちを傷つけることしかできないんだろう…






< 192 / 221 >

この作品をシェア

pagetop