なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
ねえ、ヨウ。
「私、あんたのこと好きになりかけてたよ。友達としてなら、一番に大好きだった。」
「なりかけてた、かよ(笑)なってたじゃなくて!!」
笑うんだ。
「行ってくるね。」
私は振り返らず、ただ前に進む。
ヨウ。
私は最後にまた、あなたに嘘をついちゃったね。
本当は、なりかけてなんかない。
もうとっくにあなたのこと、好きだったのかもしれない。
『誰のこと考えてた?』
あの時ヨウは、そう言ったよね。
あの時、私は琢斗でもなくトーヤでもなく、ただ目の前にいるヨウのことだけを考えてた。
あの時から、ヨウへの見方は変わっていたのかもしれない。
でもね…
でも、今私に必要なのは
泣いてもいい。
苦しくてもいい。
それでも失いたくない存在。
きっと、ヨウが与えてくれる安らぎじゃない。
涙をこらえて私は前に進む。
幸せにしてもらうため?
ううん。
自分の力で、幸せになるために。