なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
「はよ。」
荷物を床にドサッと置いて、眠そうに教室に入ってきたそいつを見て
夢乃の頬が赤くなる。
「おはよ、琢斗。朝から練習お疲れ。」
「あー…疲れた。」
でもそんな夢乃の様子に気づかないふりをして、私は琢斗に声をかける。
夢乃はわかりやすい。
だからきっと、みんなが夢乃のあいつへの気持ちに気づいているはず…
まあ、
当の本人の琢斗は気づいていないんだろうけどね。
野球バカだから。