なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
たぶん、
琢斗は中身なんて見ない。
分かってるからこその、
少しの期待。
「怪我、しないでね。練習も大事だけど、身体大事にして。」
マネージャーをしていて、それが一番怖い。
無事に何事もなく1日が終わることが、どんなに私をホッとさせるか…
「サンキュ。」
私の不安な気持ちを知ってか知らずか、
俯いている私の頭を、琢斗がポンっと叩く。
琢斗に触れられた部分から、一気に熱を帯びていく私の身体。
「…あついね。」
手で身体を仰いで、私はそれをごまかす。
ねぇ琢斗。
夏が来たよ。
でも私はまだ、
これが最後だなんて、思いたくないな…