なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
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「おわっ、まだいたのかよ!」
突然ドアが開いて人が入ってきて、私は我に返った。
周りが気にならないくらい、しばらくの間自分の世界に入ってしまっていたらしい。
ドアの前でつったっている、そいつに顔を向ける。
「なんだ、トーヤか。」
私は少々嫌みを含んで、幼なじみのそいつ、
村元遠哉に声をかける。
「おまっ!なんだとはなんだよ?!お疲れの一言もないわけ?」
「あーっ、おつかれ。」
「心こもってねぇし…」
トーヤとは、親同士が仲良くて気づいたらずっと一緒にいた。
幼稚園の頃から…だから、もう13年の仲になる。
小、中、高も一緒で、
しかも卒業のこの年に同じクラスだなんて、なんて縁だろう。