なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
「こんな暗くなる前に、帰れよ。それとも、俺のこと待ってたわけ?」
半分冗談のつもりで言ったのに、
「そんなわけないじゃん」
亜子が本気でそう返してくるから、俺は少し…
いや、かなりへこんだ。
でもそのすぐ後に、
「大会、勝てそう?」
いつもは俺に興味がなさそうな亜子がそう聞いてきたから、
俺は飛び跳ねそうなくらい嬉しくなった。
さっきまで落ち込んでたのに、俺ってばやっぱり単純だ。
「おうよ。今日もバッチリ絶好調!大会が楽しみでしょうがない!!」
また、
『バカだ!』
って鼻で笑われると思ったんだけど、
今日の亜子はどこかいつもと違った。
それがどうしてか、俺にはわからなかったけど……