なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?


今日も、亜子を家まで送る。




教室を出る時に、




一瞬切ない顔でグラウンドを見つめた亜子に




俺は、




気づかないふりをした。







――――――


――――――――――




「なあ、亜子?」


「何?」




「俺の最後の大会、応援きてよ。」




俺は、精一杯の願いを込めて


亜子に言う。




「…気が向いたらね。」




大体亜子の答えは予想がついていたけど、




「絶対、こいよ。」




俺はもう一度強く、




亜子に言った。











最後こそは、




お前にかっこいいとこ見せたいんだ。




あいつより一生懸命な、俺の姿。




そしたら、




お前の矢印が少しは、俺の方に向くのかな……




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