なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?


――――――

――――――――――


「明日はいよいよ決勝だ。今日はゆっくり休めよ。」


試合後、監督がそう俺たちに告げて


その日は解散になった。




「お疲れ様。」


夢乃が俺を見つけて、声をかけてくれる。




「ありがとう。夢乃の、お守りのおかげかな。」



ポケットからお守りを出し、夢乃に笑顔を見せる。




「そんなのでも、何か役に立てたなら良かった!実はね、ヨウのは特別なんだ。」


「特別?」


「ヨウのだけ、バッドとボールとグローブなの。」




『特別』


夢乃にとって俺へのその言葉は、


友達としての


『特別』


だったんだろうけど、







それでも俺にはその言葉が、


ものすごく嬉しかった。



< 36 / 221 >

この作品をシェア

pagetop