なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
――――――
――――――――――
「明日はいよいよ決勝だ。今日はゆっくり休めよ。」
試合後、監督がそう俺たちに告げて
その日は解散になった。
「お疲れ様。」
夢乃が俺を見つけて、声をかけてくれる。
「ありがとう。夢乃の、お守りのおかげかな。」
ポケットからお守りを出し、夢乃に笑顔を見せる。
「そんなのでも、何か役に立てたなら良かった!実はね、ヨウのは特別なんだ。」
「特別?」
「ヨウのだけ、バッドとボールとグローブなの。」
『特別』
夢乃にとって俺へのその言葉は、
友達としての
『特別』
だったんだろうけど、
それでも俺にはその言葉が、
ものすごく嬉しかった。