なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?


「夢乃。」


「なぁに?」


「俺、明日絶対勝つから。県大会も勝って、絶対お前を甲子園に連れていく。」




いつもより強い口調で、俺は夢乃にそう約束する。


そしたら夢乃はいつもみたいに


「楽しみにしてる。」


「でも、無理だけはしないで。ヨウ、ずっと投げっぱなしなんだから。身体大事にしてね。」




俺のことを気づかうんだ。




夢乃を甲子園に連れてくのは、琢斗じゃない。




俺だ。




こんなの俺の傲慢だって分かってるけど…




最後に夢くらい見させてよ。




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