なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
「もうテニス部終わったの?」
「終わった。ってか、ここからコート見えるだろ?俺のスーパープレー見てなかったわけ?」
「興味ないし…」
テニス部のコートは、グラウンドと自転車置き場を挟んで隣りの位置にある。
だから、私たちの教室からよく見える。
でも今日は、
全く視界に入らなかった。
私の視線の先には、違うものがあったから……
「興味ないって…そんなこと言うお前にはこうだ!」
そう言って、トーヤは持っていたタオルを私の頭に乗せ、髪をぐしゃぐしゃとしてくる。
「ちょっと!最悪っ!あんたの汗臭くなるじゃん。」
「みんな汗臭くなるまで練習してるんだぞ!大変さを知れー!この万年帰宅部〜」
「ギャ---------っ!!ほんとやめて!」
トーヤといるといつもこう。
こいつがことあるごとに私に絡んでくるから、周りからも「夫婦漫才」とか言われて迷惑してるんだ。
元凶であるトーヤは、それを楽しんでるみたいだけど…