なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
守備を終えてベンチに戻った俺を、
監督が呼びとめた。
「おい、松永。お前手見せてみろ。」
そう言われて開いた俺の手は、豆が全て潰れて真っ赤に出血していた。
「もう、無理だろ。次の回から下がれ。」
冷たい、監督からの宣告。
『まだやれます!』
そう言って食い下がろうとした俺より先に、
「監督。松永はまだやれます。最後まで投げさせてやってください。」
そう、監督に頭を下げている琢斗の姿に
俺は驚かされた。