なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?




……夢乃。




やっぱ、




お前が好きなこいつは、




すげぇかっこいいよ。




一生かかっても、俺にはかなわない。







二塁上にいる琢斗に向けて、俺は拳を突き上げる。




お前の想いを、無駄にしないから。




絶対、


俺が決めてやる。




豆が潰れた右手を見つめ、俺は打席に向かう。




不思議と、手の痛みも疲れも、どこかへ飛んでしまっていた。



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