なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
「優勝おめでとうっ!」
試合のあと、夢乃は案の定、真っ先に俺たちのもとへ駆け寄ってきた。
「まだ県大会が残ってる。喜ぶのは早いよ。」
「それでも、凄かった!かっこよかったよ!」
勝利を自分のことのように喜んでくれる夢乃に
「……かっこいいか」
俺は静かに、こう切り出す。
「夢乃。男が一番カッコ悪い時って、いつだか分かる?」
急に何を言い出すんだろうという顔で、夢乃は首を傾げる。
そして俺は、静かに呟いた。
「……それはね、自分よりかっこいい男を目の当たりにした時だよ。」