なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
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「うぇーーん、亜子ぉ〜。」
体育の授業中。
私は亜子に泣きついていた。
今日の体育は体育祭の練習。
そう、私は体育祭が嫌いだ。
というより、体育自体が嫌いなんだ。
目の前を走る亜子。本当は早いのに、私に合わせてゆっくり走ってくれる。
亜子は、帰宅部なのが勿体ないくらい運動神経がよくて、なんでもそつなくこなす。
本当にかっこいい。
私はマネージャーをやっていた割に、トロい。とにかくどんくさい。
今年の体育祭は、クラスリレーとムカデ競争に出る。
せめて、みんなの足を引っ張らないようにしたいと思ってるんだけど…
「こらぁーー!源月、持田ぁ〜!!お前ら真面目に走れ!」
後ろをトロトロ走っていた私たちに向かって、体育教師が怒鳴り声をあげる。
私、本気で走ってるんだけどな…
大丈夫かな、こんなんで。