なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?

side亜子



「ちょっとトーヤ!ちゃんと働く!」


「ヨウも寝ない!」


学祭があと1ヶ月に迫り、私は忙しかった。


「先輩、布あとどれくらいいりますか?」


「亜子ぉ〜!また失敗しちゃった…」


裁縫が昔から得意で、毎年私は衣装係と決めている。


だからか、今年最高学年になった私は周りから無理やり衣装係の責任者を任されていた。


そして、現在に至る。


目の前で、ミシンとにらめっこしている夢乃。


こんなに女の子らしいのに裁縫は苦手らしく、泣きそうになりながらも頑張っている。




それに引き換え…




立て看板係のトーヤ、琢斗。


応援係のヨウ。


琢斗は相変わらず真面目に、黙々と作業をこなしている。


でも一方で、トーヤは他の男子数人と新聞紙を丸めて野球をしていた。


ヨウに至っては、自分で着る衣装をファンの女の子に作らせて、自分は優雅にお昼寝タイム。




やる気あるのかな…こいつら。


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