なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?
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「お疲れさま。」
練習後、
ニコニコしながらタオルと水を持ってきてくれたのは
持田夢乃。
俺たちのマネージャー。
毎年マネージャー希望は殺到するんだけど、夏になるまでに大体の奴が辞めていく。
それくらい、マネージャーは俺たち部員並みにハードなのだ。
そんな中、ちっこい体で今も一人、頑張って俺たちを支えてくれているのが夢乃だ。
「最近、ストレートのスピード上がってきてるんじゃない?」
「下半身が安定してきたんだ。筋トレとランニングの成果かな。」
「最近特に頑張ってるもんね。でも、無理しないでね。」
こんなちょっとした変化に気づくのも、俺の身体を気遣ってくれるのも
マネージャーだから、というよりは夢乃だから。
誰よりもみんなのことを見ている。
誰よりも本を見たりして勉強している。
そんな夢乃の陰の努力を、俺は知ってる――