なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?


琢斗はやっぱり俺から目を逸らすことはなくて、放課後の、この静寂な空気の中




「考えてたよ。持田のこと。」


そう、静かに声を響かせた。


でもそれは、俺の期待していた答えではなかった―――




「持田のことを考えていたのは、あいつがマネージャーだから。俺はあいつのことだけじゃなくて、お前のことや、チームのことも同じくらい考えてたよ。」


いつもの俺なら、“琢斗らしい"って笑ってたかな。


でも、今の俺はそうは思えない。


これがお前の本心じゃないことは、わかっていたから。




俺たちは、後に続く言葉を期待する。


自分が欲しい言葉を相手に求めてしまう。


だから、その期待が裏切られた時のショックが大きいんだ…


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