なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?

わかってんだけどな…


わかってんだけど、どうしても許せないんだ。




ガタッ!!!


俺は思わず琢斗の胸倉を掴み、睨みつけた。


その勢いで机が倒れ、俺達の顔がさらに近づく。




「……ざけんなよ。」


「俺に気遣ってるつもりかもしれないけどな、お前のその不必要な優しさが逆に周りを傷つけてんだよ。」


琢斗。

お前が親友だからこそ、許せないことがある。


「中途半端な気持ちでアイツを傷つけたら、いくら親友のお前でも許さない。アイツを泣かせたら、俺は今度こそ遠慮しないから。」


本当はさ、分かってんだろ?琢斗。

わかんねえふりしてるだけで、お前は分かってる。


だけどお前は、嘘をつく。


その嘘は、何を守るための嘘?




「持田のことは、友達以上に思えない…」


琢斗のその言葉に俺は胸倉を掴む手を緩め、思わず笑ってしまった。


あんまり、辛そうな顔でお前が言うから。


その顔は、あの夜夢乃の隣でお前が見せていた顔。


地区予選決勝で、夢乃のマスコットを握りしめていた時の、お前の顔とおんなじだ。


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