サンシャイン!
彼の葬儀は身内のみで行われたと聞いたのは、あの日から既に二週間も経った頃だった。
山越くんは、須山くんと仲が良かったようで、時折、彼がぽつん、と空いてしまった机を眺めて何とも言えない顔をしているのを見かけた。
声は掛けない。
ただ交わることの無い一直線の視線を、私は眺めた。
「巳丘、ちょっといい?」
二週間と三日が経った。
あの日から十日振りに彼は私に声を掛けた。小さく返事をして後ろ姿を追い掛ける。
着いた先は屋上。
背筋がぞわり、と震えたのが嫌なほど分かった。
沈黙。
重苦しいそれは、永遠のように感じる。
堪えきれず遂に口を開くと、彼は笑ってこちらを見た。
「須山くん」
「ん?」
「……何で笑ってるの?」
友達が死んだのに、なんで笑うの、と問う。
「生きてたいから」
真面目な顔で彼は答えた。
「死んだら、泣くも笑うも出来ない。俺は、山越の事を悲しんだら、多分、死ぬ」
そう言うと彼はまた笑って、続けた。
「俺はまだ生きてたい。だから笑うんだ」
私には到底理解は出来ない。
あの日から、私のまわりは変わってしまった。それもしょうがないことだが、私にはとても悲しいものに思える。
そんな私はどこか異常で。
自分の気持ちがさっぱり分からなくなってしまったのだ。
「山越くんの分も、須山くんは生きないとね」
一緒に微笑んでそう言うと、彼もにっこりと笑い返してくれた。
始まりの歌――
それは鎮魂歌だった。