【短篇】私と僕。~逆らっちゃダメ~
「別に変じゃないよ。」

「そ?ムリしないでよ。」


「ありがとう。」


ケンちゃんの手は、離れていった。


私達はまた、歩き出した。


ケンちゃんは、少しだけ一歩下がって歩いていた。


でも、ケンちゃんはどこか不自然な歩き方であることに気付いた。


小さく小さく歩いていた。


…………。


私の、歩幅に合わせてる…?


いつも、一歩下がるのは私の歩幅に合わせてる…?


ペットだから、じゃなくて。


変わってしまった歩くスピードを合わせるために…。


「ケンちゃん。ストップ。」


静かに口を開いた。


足を止めた。


「どうしたの?」


「あの、家まで歩いて。」


私は、数十メートル先の家を指さした。


「????」


「歩いて。」


もう一度言った。


ケンちゃんは、疑問に思いながらも歩いた。
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