【短篇】私と僕。~逆らっちゃダメ~
私は、後ろから見ていた。


歩きながら、ケンちゃんは、後ろをちらちら見た。


きっと、いたずらされるとか思ってるんだろうな。


ケンちゃんの足を見る。

一定の歩幅で歩いてるケンちゃん。


その歩幅は、さっきとは違っていた。


そして、歩く速さも。


「着いたよ~。」


数十メートル先の家に着いたケンちゃんが私に手を振る。


私は、走ってケンちゃんのもとへ行った。


いつもとは、逆のパターン。


私がケンちゃんのペットであるような。


「歩いたけど、どうして?」


ケンちゃんは疑問を口にした。


「なんとなく。」


私は、素っ気なく返した。


「ふ~ん…。まっ。いいや。」


また、二人で歩き出した。


ケンちゃんは、不自然なあの歩き方で。


私に合わせて。


それは、私とは『違う』ってことを新ためて知らされた瞬間だった。


< 15 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop