【短篇】私と僕。~逆らっちゃダメ~
教室は、誰も残ってなかった。


私は、一人教室で待っていた。


10分ぐらいして、ケンちゃんは走ってきた。


「ご…ごめんね。ちょっと用事があって…。ハナ一人で待たせてしまって…。」


さっきのケンちゃんとは、全く違う。


優しい笑顔のケンちゃんがいた。


「………。いいよ。別に。用事なんだし。帰るよ。」


「うんッ。」


教室から出た私の後ろをケンちゃんは歩いてくる。


御主人様とペットの関係。


それが、私とケンちゃんの絆。


唯一、繋ぐもの。


不自然な歩き方をするケンちゃんは、私を寂しくさせた。


告白されていた、ケンちゃんは私の知らないケンちゃんだった。


私は知らないケンちゃん。


悔しい…。


私の知らないケンちゃんを知ってるあの子がズルイ。


私も、知りたい。


ホントウのケンちゃんを、知りたい。


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