【短篇】私と僕。~逆らっちゃダメ~
私は、リョウくんとは反対に階段を上った。


自分の教室へ戻るために。


ケンちゃん、待ってるかな…。


急がなくちゃ。


走って階段を上って、角を曲がった。


「…え…?ケンちゃん…?」


そこにいるはずのないケンちゃんが、私のかばんを持って立っていた…。

「ケンちゃん…。」


目を合わせようとするけど、ケンちゃんは目を合わせてくれない。


「待たせてごめんねっ。帰ろっか。」


いつも通りにケンちゃんに話しかけた。


ドサ。


私とケンちゃんのかばんの落ちた音。


ちがう、落とされた音。

薄暗い階段で、 手首を引っ張っられた。


ぐいっと、力強く引っ張っられた。


「………ッ。」


手首が、痛む。


引っ張っられて、壁に投げるように手首を押さえつけられた。


私は、壁とケンちゃんの間。


そんな状況に頭は混乱していた。


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