【短篇】私と僕。~逆らっちゃダメ~
「本気??どう言って欲しいの!?ケンちゃんがわからない!!どうして怒ってるの!?どうして私を怒るの!?」


つい、叫んでしまった。

気付きかけている感情を、隠したくて。


「『好き』って言って欲しい。」


ドキッ。


目を逸らしたくても、逸らすことを許してくれない。


ケンちゃんに、私は瞳を捕らえられた。


「…………。」


「ハナが。ハナが好きだから。約束を破っていいなんて嫌だ。俺は、ハナと一緒にいたい。だから。ハナがリョウに告られてんの見たら、悔しかった。」


「…………。」


私は黙ったまま、話を聞く。


ケンちゃん…??


「俺が、ずっと一緒にいたのに、彼氏になれない自分が悔しかった。『ペットのケンちゃん』が悔しかった。ハナは…どうなの…?」


一つ一つの言葉が、私の中に染み込んでいく。


私は、手を延ばした。



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