【短篇】私と僕。~逆らっちゃダメ~
「あっ!!今日の授業で使う辞書忘れてきちゃった!」


かばんの中を見て、叫んだ。


「ケンちゃんに借りたら??」


少しむっとした。


「ん~。そうする…」


渋々、ケンちゃんのクラスへ向かう。


クラスに着くと、ケンちゃんを呼んでと頼んだ。

「ケンちゃん!!お客さ~ん!」


『ケンちゃん』


私だけの呼び方なのに、クラスの人も呼んでるんだ…。


なんだか寂しくなった。

「ハナ。どうしたの?クラスに来るの珍しいね。」


「…あっ…。辞書忘れちゃって…。貸してくれないかな??」


「いいよ。ちょっと待っててね。」


走ってとりに行った。


フリスビーをとりに行く犬みたい。


「はいっ。」


手には辞書。


「しゃがんで。」


「ん??」


ケンちゃんは何も言わずしゃがんだ。


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