【短篇】私と僕。~逆らっちゃダメ~
私の手からケンちゃんの手が離れていった。


手に在った温かさが消えていった。


「う…うん。いい。」


下を向いたまま低いトーンでしゃべった。


「ハナ大丈夫?息、切れてるけど…?」


心配そうなケンちゃんの声。


「大丈夫。もう落ち着いてきたみたいだし。ケンちゃん息切れしないんだね。」


「え?まあね。一応、体力には自信あるよ。」


「私は、ないな。体力ない。ケンちゃん凄いよ。」


「えへへ…。」


照れているのかな?


ケンちゃんは、頬をかいて笑った。


「もう歩ける??」


「ん。歩ける。」


ぎゅっ。


手にまた温かさが戻ってきた。


え…?


ドクン。


心臓が跳ねた。


「…ケンちゃん?」


「ん?練習~。次、失敗しないために。」


次?


次って誰との次?


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