飛べない鳥


僕は最初

彼女を不思議な子だと思っていた。


確かに見た目は可愛い子だ。


でもよくわからない子。



転校初日、飛鳥は緊張した素振りを見せず

教室の前で担任の隣に立っていた。



『三谷 飛鳥。

飛ぶ鳥と書いて飛鳥だ』


先生が丁寧に飛鳥の紹介をすると

『せんせー』と飛鳥は先生に言った。


『せんせ。

私は飛べない鳥だよ』



飛鳥は平然とした口調で言った。


それが僕にはわからなかった。


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