ALTERNATIVE Ver.0.5
紐は、ずるずるずるっと伸びて女は片膝をついた状態でひもを握った手が地面についた。


トン。



外を歩く喪服の人達に行列が、もしこの部屋の中の様子を覗けるのだとしたら、この女、ものすごく悔しがってるように見えただろう。

パンツも見えているし。

さらに男は便座に座っているし。


だがしかし喪服の行列の歩みは止まることはない。つまりは、外からは、やっぱりここは見えないということなんだろう。


しかし、

なぜこの女は、白い綿のパンツなんかをはいているのだろうかと、男は息を吸いこみながら眉根を寄せ、片方の眼だけ少しだけすぼめた。

男は安物のヨレヨレの黒いスーツのスカートから見える白い三角の形をしたパンツをじろじろと見ながら、たとえば


どういう――



たとえば

この女。
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