ALTERNATIVE Ver.0.5
男の意識が一瞬途切れた。

目の前にはパンツ。

視界一杯の綿の白いパンツ

パンツから伸びる太もも、下をのぞくと黒いスーツ、少し隙間の空いた白いシャツ、女の顎。

69の態勢である。

コカンを服の上から弄ばれながら、男は、なんなんだろうか、

いったい

これは、急に、

と、

思ったが、せっかくなのでパンツを触ろうか、

それとも、パンツをズラそうかとかなど思ってはいたのだが、ギリギリで手が止まった。


“ちがう”


なんだか嫌な予感がする。女はさっきからちんちんのギリギリそば、いわゆるチンソバを攻めてはいるが、あくまで傍である。おかしいなと男は女の足だけ少しさわり、目の前のコカンのあたりを臭ったり凝視はしてみたが、なんとなくだめだなこれはとシグナルが鳴る。

すると女はラミネート加工したメニューというものを目の前に、にゅうと出し男に見せた。

男は一番右端に縦書きされた69(シックスナイン)5000円という寄席文字で書かれたものを確認した後、ああ、安いんだか、高いんだかよくわかんないなとかおもいながら、これ、この状態のままなら無料なんだろうか、それはそれで、なんだかお得感がありすぎて、なんて思っていると女は、聞かれてもないのにこれが一番安いコースになりますと急に事務的に言い放った。
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