ALTERNATIVE Ver.0.5
坂を下って登り切ると目にとまったコンビニの看板。真ん前に車を止める、どこかで見たような顔の店員がレジ打ち、誰だと一瞬わからなくて頭の中を検索、思わず雑誌コーナーへと逃げる。さらにスープはるさめのコーナーに移動するときにああ、高校の時の同級生か、これでは好きなモノが変えないじゃないかと、ってか誰なんだコイツはジロジロと俺の方を見て気持ちが悪い。


なにを買いに来たんだっけ? 雑誌か? 長いこと雑誌なんか買ったことがない。 なんだここエロ雑誌ばかりじゃないか? なんだこのコンビニ。
いや、こんなコンビニばかりか、このエロ雑誌が欲しくて買いに来たのか?

あいつは、あの店員は高校の時の同じクラスのヤツか、そんなことよりも頭が痛い。笑うな店員。はきそうだ、結局何も買わないでよろよろ急いで店を出て裏に回ると、暗がりに階段。

暗がりに目が慣れるとモトキ。

横になっているモトキ。

モトキにつないでいる生命維持装置を外す。

心電図がピーと鳴るが、モトキはさっきと同じように目を閉じている。

眠っているようだ。

あぶないと思った。

両手で電気ショックを起こす機械をつかんでモトキの胸に当ててバフン!

心電図はまっすぐのままだ。さらにバフン。

「モトキ! モトキ!」と胸を押す。

ぐっ! ぐっ! ぐっ!

人工呼吸か?と顔を見ると寝ているように安らかな顔。電気ショックを当てるときから、うすうす感じていたことがある。あんまりタイプではない。いや、男同士とはいえありかなしかでいうとなしなんだ。しかたないじゃないか!清潔感が正義感を押しつぶすことだってあるんだ。それに対して嫌悪感はない。俺には責任感がないのだ。


すこしだけ頭を下げ、そして階段を上る。

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