ALTERNATIVE Ver.0.5
向かったその先には、黒と白と赤を基調にしてある看板が見えた。
同敷地内にある、これまたホームセンター級の大きさの雑貨屋さんであった。

「何もかもデカイな。クソ田舎め」

店の自動ドアを通過すると目に飛び込んできた店内は、ごちゃごちゃとした圧縮陳列で、まるでジャングルのよう。

そんな店内をぐるりぐるりと歩きながら見渡し2階へ、中2階なのかロフト部分なのかミリタリー系アクセサリーとか雑貨、モデルガン。袋小路。いきどまり。

なんだ! くそう!

と、青銅色の実弾のレプリカを手に取り元に戻す。

階段を降りる。

降りる階段の途中には自転車に電球をたくさんつけるグッズ。デコチャリくんシリーズか……ふと見上げるとトイレらしきイラストと矢印!

男は「逆からか」とつぶやき矢印の方へ目線を送ると、その視線の先には黒い扉。


その扉の前には張り紙がしてあってトイレ女募集と書いてあるのだが、もう切羽詰まりきっており詳しく全部読む時間はなかった。

女のイラストとともに細かな文字で何やら色々と書いてあった。

非常に気にはなる。

だがしかし、男は波が近いのか緊急を要していた。

その場でせわしなく足踏みまで、するようになった。

人はトイレを確認すると安心するのか、否。

それは確認した瞬間から生まれる奇妙なカウントダウン。

距離からの放出するまでの逆算が始まる。

だからなのか、人は生まれるから死ぬんだ。恐怖や不安は逆算なんだ。ところでおまえは、死ぬ前にしておきたいことはあるかい?

残念ながら、おまえは明後日には死んでしまうだろう。

ただ、今は生きている。生きてケータイを触っている。

もっとほかにやることはないのか?

もっとも、ここからはかなり面白くなる。だまされたと思って読み進めるといい。


とにかく男は黒い扉を開けようとした。流木でできたノブをつかんで横にスライドさせようにも手が滑り、その軽い衝撃で波の感覚が狭くなってきているのか、男は時折上を向いたりしながら今度は流木をつかんでゴンと引いてみたりしたあとに、押せば普通に開いた。

ギィー


ザッ ザッ ザッ



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