ALTERNATIVE Ver.0.5
はて、この女。


一体、どこから入ってきたのだろうか?

という問題。


針金フックカギは、

か か っ た ま ま 。


なのだ。



目に止まったのが水道と蛇口。

水道の蛇口からゲル状になった女が出てくるイメージが浮かぶ。

次は、排水溝からにゅうっとトコロテンのように出てきてひっつき今の女の姿になるイメージ。

ない。


し か し

頼りないカギではあるが、入ってから今までは完全な密室のはずだったのである。
窓から光しか差し込んでいない。隙間からは喪服の行列がまだ続いている。


ふと、ある結論に近い仮説に至る。

入ってくるまで、自分がトイレに入ってうんこを出すまで、女は待機していた。すでにいたのか。と、男は思った。

つまり、自分が入る前から。うんこを出す前から。


女は待機していた。

す で に こ こ に い た の だ 。

と。


しかし、それなら扉、侵入口はなくても良いが、問題となる待機できそうな場所。これが見つからなかった。


いや、あの隅にいたのか、入口の針金フック鍵の逆側。


あそこなら押して入ったドアだ。

開閉時にわずかなドアの死角が生まれる。

そこに女。

引き戸にはなく押し戸だけに発生する空間。そこに女。

可能性はある。

結論に近い仮説は確信へと変わる。

そしていつか少女は大人になる。

大人になった少女はトイレ女になる。

なるか?

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