++外伝/偉大な緑の協力者~『選択』~++
 一時間以上は走っただろう。ティーロから電話が入ったため横のボタンを押し通話に切り替える。


<スハイツの結果では、その辺りで人が居なさそうな場所が潰れたガソリンスタンドと、人も入れないような廃屋だけだそうです。ただ――>
『ただ?』

 不信だと思われる点が一つだけだが見つかったようだ。だが、確信ではなく、予想でもあるため言うのに少し躊躇うティーロ。

<途切れた地点から二km程の場所で南に向う道があります。一時間走るか走らないかの場所に、最近買い取られた中規模の工場があります。見た目同業者取引なのですが、経営破たん寸前の土地で――>
『莫大な金が流れていると?』
 
 簡単に拠点を隠す事や移すには、確かに手っ取り早い方法の一つだと判断は出来る。
 そういう場所を少し多めの金で買収すればいい。偽るくらい簡単な事だろうし、金に困っている会社であれば気にしてはいられないというのが本音。
 

<それと、ザザという人物がリストに見当たらないのです。他の人物は拘束済みです。しかしザザという人物はこの世に存在していなかった状態……>

 
 アザムはその名前に聞き憶えがあったため、ベリルの顔を見た。

 
 イメージ的にガルナは社長に愚直なイメージ、レイもそれに近かったと思われる。会社の意向なのだからという、良い意味でも、悪い意味でも“生真面目”。

 ザザは軽く少しの時間しか一緒には居なかったが、いまいち掴めない性格だったイメージが少年には残っている。
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